2020年1月6日 更新
 
2020年1月4日 公開
 
R1年12月22日。 作業開始当初の2年間、自ら立候補した小学校のPTA活動によって、ほとんど手つかずの状況が続いていました。

基本姿勢として、合わせ面は全て目の細かいガラスシートで塞ぐ、また製造時に必要な穴も全て塞ぐ、最後に露出している下回りの鉄板全てを厚いガラスシートを張り付ける。
腐食している箇所は重ね張りをして強度を確保し、表面を全て覆う事によって塩カルの浸入を防ぎ、2度と錆びないボデーを作るイメージでした。

が、PTA活動が終わった2014年の6月、交通事故を起こしてしまい、まる1年の入院と、その後の2年間は入退院の繰り返し。作業が再開出来たのが2017年の春先でした。

仕事が出来る喜びを感じながらの作業でしたが、密着力が弱く感じる事と、シートを被せて置いてあったとはいえ、紫外線による劣化も気になっていました。でもお客さまの事を考えると、なかなかやり直す方向になれなかったのですが、ここで妥協したら一生後悔すると思い、その年の11月作業を中断。張り付けたシートを全て剥がし、2017年の12月から2回目をスタートさせました。
記念すべき最初の1枚です。GFRPと呼ばれる圧力窯で一体成型された樹脂の強度が金属に匹敵する事を知り、セプターに辿り着きました。

当時、腐食は全て鉄板を溶接していたのですが、とりあえず廃車を免れ、しばらくは乗れる状態になるだけでも自分の中では大満足だったのですが、ワークスやセルボを通じて出会ったお客さまとのやりとりの中で、一生錆びる事のないボデーを作りたいと思うようになっていました。

試すには時間もお金も必要で、なかなか手を出せずにいた時に、作業依頼が入り、今に至るわけですが、想像していたよりもはるかに難しく、樹脂や繊維の特性も理解していなかったあの頃の自分にあったのは情熱だけです。

そして、その情熱は今でも衰えていません。出来なかった時間、トライ&エラーを繰り返した時間、その時間によって今、様々な場面でセプターを使いこなす自分がいます。

1番迷惑を掛け続けているお客さまに2020年には形にすると先日約束したところです。凄いヤツ作ります。
 
修理を依頼してくれたお客さまのお陰で未知の領域に片足を突っ込んだ当初の作業風景です。

紫外線に弱い特殊な樹脂の劣化を防ぐため、当時は貼り終えた箇所に専用のコーティング剤を塗布していました。

参考になる資料が樹脂の取扱説明書だけなので、当初から試行錯誤の連続でした。

貼り方や塗り方のタイミングの前に、とにかく紫外線が一切入らない部屋で作業する事が大前提の作業なので、当時の作業環境は最悪です。これではイイ仕事は出来ません。

上3枚の写真がH26年6月18日までの作業です。
 
 
 
下2枚の写真が、退院後のH29年の春先から11月までの作業風景です。

樹脂の密着を高めるには元々の塗装をキレイに剥ぐ事では無く、普通の塗装と同じように足付けと呼ばれる無数のキズを付け凸凹の状態を作ることが大切です。今回の樹脂であれば最低でも80番程度のヤスリキズが必要になるのですが、当時はその意識が薄く写真でも分かる様にピカピカしています。これでは樹脂が剥げます。

紫外線による樹脂の劣化と密着の悪さ。大前提の部屋作りを最初にしなかったコトでやり直すことになるのですが、この身体でも何とかなると自信を深めた半年間でもありました。

確かここまではフェイスブックに公開していたと思います。

 
 
2017年12月。密着を高めるためサンドブラストを実施。密着度は飛躍的に高まったのですが、薄いガラスシートと厚いガラスシートの相性があまり良くないため、重ね張りの際に一工夫が必要である事が発覚。更にセプター自体も重ね塗りに一工夫が必要でした。

トライ&エラーを繰り返しながら2018年の11月、何とか形になるまで来たのですが、室内の気密性が相当高まっているため、ある部分にだけドアを閉めた際に生じる空気の出口を確保しても、塞いだ様々な部分にも圧力が掛かる事を想像し、何年か先に剥離する可能性が高いと判断。やはり中空部自体を何とかしないと駄目だという結論に達し、3回目のやり直しを決意しました。

が、後回しにしてしまった作業を2019年に行い、ようやくひと段落ついたため、ホームページの更新を現在しているところです。

約1年間の作業写真はフェイスブックに公開します。
 
 
紫外線が入らぬよう区切った空間を作ったお陰で、その部屋自体をサンドブラストの部屋として使用出来ました。

紫外線と密着度を克服出来た代償に中空部等、通常では取りきれない箇所に砂が大量に入り込んでしまい、塞いだ穴を最終的に一度開けなければならない事になってしまいました。

それでも錆びないボデー作りには欠かせない密着に対しては、これ以上の方法は無いと考えています。ブラスト処理を行ったボデーの艶のない見た目はもちろん、触った時のザラザラ感は最高です。

何より、手や道具が入りにくい箇所もブラストのガンであれば届くメリットもありました。

ツナギの上に帽子付きのヤッケを着てダブルフィルターの防塵マスクに、スキーで使う様なゴーグルと耳栓、毛糸の帽子に肘まで隠れそうなロング手袋に長靴。肌が露出しているのは頬っぺた位の完全武装で作業していました。
 
 
形状が複雑で大変そうなリヤから始めると考えていたため、区切る箇所が今なら違うかなぁと思う箇所で区切っています。

樹脂は少量を徐々に乾かしながら隙間に浸入させ重ね塗りを何度か繰り返し、下地を作った後でシートを貼って行くのがベストですが、この頃は下地作りの時点で厚く塗り過ぎているため、12月の寒さによる乾燥時間の延長と相まって作業が進まない悪循環に陥っていました。

シートが180度折れる箇所は乾燥中に浮いてしまう時が多々あったため、写真の様にクリップで固定するようになりました。「圧力」の観点からもなかなか有効かと思っています。

区切った部分が完成したら次の箇所をサンドブラスト!
一度キレイに掃除をし、樹脂を塗布・シートを貼る。
完成したらまた・・・
を数回繰り返しています。

 
 
最初の状態が水の様にサラサラした液体の樹脂なので、浸透性が非常に高くサビも表面ではなく内部に浸透するため、錆びの進行を防ぎつつ樹脂に侵されたサビの表面にも密着する様な特殊な樹脂だという概念が頭にあり、取扱説明書に記載してあった「完全硬化後は上塗り不可能」という言葉にだいぶ振り回されました。

解決策を編み出した今となっては、作業に対するストレスは皆無となりましたが、基本的に仕事を楽しくやっている私でも、極端に乾燥時間に左右されていたこの1年はストレスが溜まりましたよー(笑)

経験って大切な宝物ですね!

ちなみに最低2枚は重ね張りしています。
 
 
ちょうど最後のフロント左側のブラスト処理が終わったH30年9月末、リヤサス回りが腐食によって外れてしまったワークスが入庫します。

改めてカスタムページに公開しますが、その時に鉄板を使わずに全て樹脂で修復するという、何とも無茶な事を考え実践します。

この作業によって試さなければ判明しない全ての疑問が解決!
新たな方向性が明確になった作業となりました。
今までの集大成となったワークスです。
作業から1年ちょっと、約16.000㌔走行していますが問題無しです。
 
 
そのワークスで学んだ事を実践したのがフロント左前です。写真では分かり辛いとは思いますが、自分の中ではかなり違いがあります。

最初の方で述べたように、全て塞ぐコトは理に適っていないと判断したためやり直しとなるのですが、ようやく辿り着いたベストな方法と相まって、自分自身納得のいく仕上がりになると信じH30年12月、3回目のやりなおしスタートです。


3度目の作業のポイントは中空部の修理と強度アップです。
 
 
上手に重ね合わせる事によって強度が著しく増す事が判明したので、強度が欲しいと思われる箇所は樹脂と繊維で修復しています。

鉄板溶接と樹脂による修復、どちらもにもメリットとデメリットがあるので、上手に使いこなしながら強度を保ちつつも錆びない中空部を作って行きます。

そしていよいよ2020年。経験から寒い時期の作業は非常に効率が悪いだけでなく失敗するリスクも高いため、作業開始は春先の予定です。

スムーズに作業するための準備も重要です。
今の内にそのあたりをしっかりやっておきたいですねー
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